読み物一覧へ戻る
LOCAL NEWS · 世界のローカルニュース · 2026-08-04

BBCが認めた台湾自転車道、年末に専用レーン拡大の第2弾

台湾の陳世凱交通部長は8月4日、BBCが「世界有数のサイクリング天国」と報じた自転車ルート1号に続き、専用レーンを37%に増やした全長1,019kmの第2ルートを年末までに完成させると発表した。一方、米国では台湾出身のコメディアン、ジェニー・ヤンが移民向け食品店を舞台にしたスタンドアップツアーを展開中だ。ルーマニアで開かれた国際言語オリンピックでは台湾の高校生が銀2、銅4を獲得。台北の街路では記録的な暑さを背景に、日傘と街路樹のどちらで街を冷やすべきかという論争が熱を帯びている。

ローカルニュース東アジア7本のローカル記事から

リード

8月初め、台北の街路に照りつける日差しは、アスファルトを焦がし、歩く人の腕をじりじりと刺した。人影が木陰を求めて移動する中、政府の会見室では交通部の陳世凱部長が、この国を一周する新たな風の道について語り始める。前の週、英国放送協会(BBC)が台湾のサイクリングルートを絶賛する記事を配信したばかりだった[1]。海風が吹き抜ける東海岸から、都市部の喧噪を縫う西側ルートまで、自転車で島を回る「環島」は、いまや市民の休日の定番であり、海外からの旅行者を惹きつける観光資源でもある。その熱気は海を越え、フェニックスの食品店を笑いの渦に変えるパフォーマンスや、ブカレストの国際大会で若者たちが解析する未知の言語にも通じている。暑さをしのぐ知恵を競う議論も含めて、台湾の8月は、動き出す発想であふれていた。

BBCが太鼓判、台湾自転車道のさらなる進化形は「安全」

「世界で最も偉大なサイクリング目的地の一つ」。7月31日、BBCのウェブサイトに掲載された記事は、そう記して台湾の自転車ルート1号を紹介した[1]。2006年の映画『練習曲』で再燃した環島ブームを受け、2015年に政府が整備した全長1,000kmの周回コースだ。これに対し、交通部の陳世凱部長が8月4日に発表した第2ルートは、「安全」に照準を絞っている。1号線の専用レーン比率が11.2%だったのに対し、2号線は37%にまで引き上げた[1]。全長は1,019km。廃線跡を転用し、既存の道と地形を生かしながら、「ライダーに最大の快適さと安全を提供する」と陳部長は説明する[1][6]。年末の全線開通を前に、観光客と地元サイクリストの視線は、新ルートが描く東海岸と南部の風景に注がれている。

エビチップスが飛ぶ食料品店、台湾系コメディアンが開く異色の舞台

ショッピングカートの車輪が軋み、精肉コーナーからは油で揚げた魚の匂いが漂う。米国フェニックスの国際食品店「エルサレム・マーケット」で7月31日、そんな喧噪をかき消すように笑い声が上がった[2]。舞台に立ったのは、台湾出身のコメディアン、ジェニー・ヤン。移民向けの食料品店をスタンドアップコメディの会場に変える異色のツアー「The Good Egg」を6月にロサンゼルスで始め、ミネアポリスやフェニックスを経て、公演数は当初の5本から20本近くにまで膨らんだ[2]。「うけなかったジョークのたびに、買い込んだエビチップスやスナックを客席に投げ込むんです。もう、これこそ私の夢」とヤンは語る[2]。米国での移民排斥の動きを背景に、地元の非営利団体に寄付をしながら、アジア系やラテン系のコミュニティで笑いを届ける旅は、彼女にとって「これまでで最も政治的に、そして創造的に充実したプロジェクト」だという[2]

「最高の解答」で銀メダル、台湾の高校生が言語五輪で示した力

7月26日から8月2日まで、ルーマニアのブカレストで開かれた第23回国際言語オリンピック(IOL)に、台湾から8人の高校生が挑んだ[3]。与えられるのは、見たこともない言語のデータと、文法や意味を解き明かす課題。個人戦では、台北市立建国高級中学の鄧子洋と南投の同徳高級中学の呉柏霆が銀メダルを獲得。私立東山高級中学の徐紹崵、台中の弘文国際学校の張佑安、宜蘭の慈心華徳福高級中学の于昂軒が銅メダルに輝いた[3][7]。とりわけ徐紹崵は、その個人成績が評価され、「ベスト・ソリューション(最優秀解答)賞」を受賞した[3]。チーム戦でも「黒熊」が銅メダル、「藍鵲」が佳作を得て、出場者全員が入賞する快挙となった[3]。蕭美琴副総統からも祝意が伝えられ、多言語社会に生きる若者たちの言語分析力と論理的思考が国際舞台で証明された。

灼熱の街路に日傘か、並木か——過熱する台湾の都市冷却論争

記録的な暑さが続く今夏、街路の暑さ対策をめぐって「日傘」か「植樹」かという議論が起きている[4]。日傘は即座に日陰を作り直射日光を防げるが、強風には弱く、熱を遮る効果も限定的だ。一方、街路樹は持続的に日陰を提供し、大気を冷やし、洪水防止や生態系への寄与も見込める。しかし「木を育てるのに10年」という諺通り、歩道下の配管や限られたスペースが生育を阻む[4]。ノーベル物理学賞受賞者のスティーブン・チュー元米エネルギー長官が提唱した「屋根の白色化」も選択肢に浮上している[4]。日本の国立環境研究所が行った実験では、直射日光に5分間さらした衣服の色によって表面温度が10度以上異なるという結果も出ており、色と素材による暑さ対策の有効性が改めて注目されている[4]

背景を少し

台湾で自転車が再び脚光を浴びたきっかけは、2006年の映画『練習曲』だった[1]。以来、環島は台湾市民のライフスタイルとして定着し、政府は2015年に全長1,000kmのサイクリングルート1号を整備した[1]。今回BBCが取り上げたのも、そうした歴史の延長線上にある。年末に開通する第2ルートは、廃線跡の活用と専用レーン拡大によって、より間口の広いサイクリング体験を提供する[1][6]。一方、国際言語オリンピックは世界46カ国・地域から若者が集い、未知の言語データを分析する知の祭典だ[3][7]。台湾からの参加者は今回、個人・チームの全カテゴリーで入賞した。日常的に複数の言語が行き交うこの島で育つことは、異なる言語の構造を見抜く思考力と無縁ではない。

日本から見ると

サイクリングに目を向ければ、日本にも「しまなみ海道」に代表される優れたルートが各地にある。それでも国を一周する自転車道が「国家のネットワーク」として設計され、海外メディアがそれを世界規模の目的地と評する構図は、日本の自治体レベルではなかなか生まれない発想だ。スタンドアップコメディの世界では、移民の食料品店を会場に変えてしまう機動力も新鮮に映る。言葉の壁や社会問題を笑いに昇華する表現が、コミュニティの結束を強める触媒になっている点は、日本における多文化共生の場づくりにも通じる。そして何より、国際言語オリンピックのような知的な挑戦で高校生たちが「最優秀解答」と評価されるニュースは、言語教育をめぐる静かな自信を感じさせるに十分だ。

出典

  1. [1]🇹🇼 台湾Taiwan touts Route No. 2 after BBC article on cyclingtaipeitimes.com
  2. [2]🇹🇼 台湾Taiwanese comic brings shows to groceriestaipeitimes.com
  3. [3]🇹🇼 台湾Taiwan wins 2 silver, 4 bronze at International Linguistics Olympiadtaipeitimes.com
  4. [4]🇹🇼 台湾Tackling extreme heat as a nationtaipeitimes.com
  5. [5]🇹🇼 台湾ENGLISH DIGEST 實用美語(空中美語)taipeitimes.com
  6. [6]🌐 Web検索《TAIPEI TIMES》 Taiwan touts Route No. 2 after BBC article on cycling - 焦點 - 自由時報電子報news.ltn.com.tw
  7. [7]🌐 Web検索Taiwan wins 2 silver, 4 bronze at International Linguistics Olympiad - Focus Taiwanfocustaiwan.tw