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LOCAL NEWS · 世界のローカルニュース · 2026-07-11

歴史の街が「もう限界だ」と叫ぶ――観光と伝統の間で揺れるクロアチアの夏

アドリア海の真珠と称されるクロアチアの観光都市ドゥブロヴニクで2026年7月10日、市長が観光開発の抑制を訴える異例のスピーチを行い、現地で大きな議論を呼んでいます。急増する観光客によるオーバーツーリズムは、美しい歴史都市の生活環境を脅かし、住民の間に危機感を広げています。伝統的な暮らしの豊かさと、急速な商業化の波との間で葛藤する現地の人々の姿は、観光立国を目指す日本にとっても決して他人事ではありません。世界遺産の街の苦悩から、猛暑を彩る家庭の味、そして伝説的映画監督の訃報まで、クロアチアの今を伝えます。

ローカルニュース東欧5本のローカル記事から

リード

夏の強い日差しがアドリア海の青い海面に反射し、オレンジ色の屋根瓦が並ぶ旧市街を黄金色に染め上げていく。クロアチア南部の観光都市ドゥブロヴニクでは、世界中から押し寄せる観光客の賑やかな話し声と石畳を踏みしめる靴音が、心地よい潮風に乗って響き渡っている。しかし、この華やかな光景の裏で、現地の人々は観光地化がもたらす生活環境の変化に複雑な思いを抱いている。2026年7月11日の週、この国では歴史ある街の未来を巡る切実な議論から、夏の猛暑を乗り切るための家庭の知恵、 velvetそしてかつての社会主義時代を揺るがした文化の記憶まで、生活者の本音が様々な形で噴出した。観光の喧騒と日々の暮らしの調和を模索する、クロアチアのリアルな夏の空気をお届けする。

「もう限界だ」世界遺産ドゥブロヴニク市長が訴える歴史都市の危機

世界的な人気ドラマのロケ地としても知られ、世界中から観光客が押し寄せるドゥブロヴニクで、観光公害に対する悲痛な叫びが上がった。7月10日の夜、第77回ドゥブロヴニク夏季フェスティバルの開幕式において、Mato Franković市長が登壇し、観光開発のあり方に一石を投じる演説を行った[3]。市長は「観光客がどれだけ入るかではなく、私たちの後に来る人々が今夜私たちが感じているのと同じ誇りを感じられるように、この街をどれだけ残せるかが問題だ」と語り、街の誇りを守るために「もう限界だ」と言う勇気を持つべきだと訴えた[3]。この発言は、個人の利益が公共の利益を上回ることへの強い警戒感を示している[3]。ドゥブロヴニクでは13世紀の法令や1296年の大火後の復興計画において、建物の大きさや通りの秩序を厳格に定めていた歴史がある[3]。市長は「街が存続するのは無限に成長するからではなく、どこで立ち止まるべきかを知っているからだ」と語り、目先の開発に警鐘を鳴らした[3]。現在、現地では都市計画(GUP)や空間計画の改定を巡る議論が進行中であり、この発言は住民の間で大きな反響を呼んでいる[3]

国民的ビスケット「プラズマ」で作るオーブンいらずの冷たい夏の味

うだるような暑さが続くクロアチアの夏に、オーブンを使わずに作れるひんやりとした家庭用スイーツが話題を呼んでいる。国民的ビスケット「Plazma(プラズマ)」を使ったこの冷たいケーキは、手間をかけずに作れるにもかかわらず、まるで菓子店のような仕上がりになると評判だ[2]。クリーミーな食感、豊かなココナッツとビスケットの風味、そして滑らかなホワイトチョコレートのグラサージュが絶妙なハーモニーを奏で、トッピングされた新鮮なイチゴの酸味が爽やかなアクセントを加えている[2]。甘く香ばしい香りと冷たく滑らかな舌触りが楽しめるこのデザートは、夏の午後のコーヒータイムや家族の集まりに最適な一品として親しまれている[2]

旧ユーゴ全体を恐怖に陥れた伝説のホラー映画監督の死

クロアチアの映画界は今、かつて旧ユーゴスラビア全体を震撼させた偉大な才能の死を悼んでいる。7月11日、映画監督のĐorđe Kadijevićが92歳で死去した[1]。彼は1973年に旧ユーゴスラビア初のホラー映画とされる『Leptirica(蝶)』を制作し、一躍その名を轟かせた[1]。この作品は、セルビアの作家Milovan Glišićの小説『90年後』を原作とし、吸血鬼(ヴァンパイア)をテーマにした怪奇映画である[1]。当時の国営テレビ局「テレビ・ベオグラード」の制作で放送されたこの映画は、あまりの恐怖描写から、当時のマケドニアで視聴中の男性が心臓麻痺で死亡したという都市伝説が生まれるほど社会に衝撃を与えた[1]。Kadijević監督は、クロアチアの詩人Arsen Dedićと同じシベニクの通りで、クロアチア人の母とセルビア人の父の間に生まれた[1]。かつての社会主義体制下において、独自のエンタメ文化を花開かせ、人々の記憶に深く刻まれる恐怖映画を作り上げた彼の死は、東欧映画史の一つの時代の終わりを告げている[1]

猛暑のザグレブで犬が噴水にダイブ、ネットで巻き起こった賛否論争

首都ザグレブの中心部にある有名なマンドゥシェヴァツ(Manduševac)の噴水で7月11日、猛暑に耐えかねた1匹のゴールデンレトリバーとみられる犬が水の中に飛び込み、涼む姿が目撃された[5]。犬は前脚でエメラルドグリーンの水面を叩き、波を追いかけて大はしゃぎしていた[5]。周囲にいた市民らは、立ち止まってその様子を笑顔で見守り、広場には一時、穏やかな空気が流れた[5]。この様子を撮影した動画がフェイスブックのコミュニティ「Zakaj volim Zagreb」に投稿されると、多くの市民の心を温めている[5]

日本から巡るクロアチアの今

ドゥブロヴニク市長が訴えた「どこで立ち止まるべきかを知る」という言葉は、観光公害に悩む日本の京都や富士山などの観光地が抱える課題と深く共鳴する[3]。ビジネスの規模拡大を優先するのか、それとも地域住民の生活の質と歴史的遺産を守るのかという問いは、持続可能性の根幹に関わる問題だ[3]。また、ザグレブの噴水での犬の騒動は、猛暑の中で動物を家族の一員として慈しむ市民の姿を映し出している[5]。伝統的な暮らしの知恵である冷たいお菓子を楽しみつつも[2]、急速な変化の中で自分たちのアイデンティティと生活を守ろうとするクロアチアの人々の姿は、同じように観光立国としての岐路に立つ私たちに、進むべき方向を立ち止まって考える契機を与えてくれている。

出典

  1. [1]🇭🇷 クロアチアOvaj film prestravio je generacije u Jugoslaviji, pričalo se i da je čovjek u Makedoniji umro kad ga je gledao...jutarnji.hr
  2. [2]🇭🇷 クロアチアKremaste Plazma kocke koje uspijevaju svaki put: Savršena ljetna kombinacija kokosa, bijele čokolade i keksavecernji.hr
  3. [3]🇭🇷 クロアチアGradonačelnik Dubrovnika sinoć je poslao poruku koja je svima prošla ispod radara: ‘Treba reći - dosta!‘jutarnji.hr
  4. [4]🇭🇷 クロアチアFOTO Partijanerima na Ultri nudio se kebab i pizza: Evo kakve su cijenevecernji.hr
  5. [5]🇭🇷 クロアチアShow na Manduševcu, pas uskočio u fontanu, ljudi se smijali. I onda je naravno nekom zasmetalo...jutarnji.hr