リード
8月1日、オーストラリア・シドニーのスタジアム・オーストラリアで行われたチェルシー対トッテナムのプレシーズンマッチは、退場者を出したトッテナムが2-1で逆転勝利した[1][2][3]。後半開始から3分後にケビン・ダンソが一発退場となり、数的不利に陥ったトッテナムはチェルシーの攻勢をしのぎ、後半アディショナルタイムにリシャルリソンが決勝点を挙げた[1][2][3][4]。この試合を含め、トッテナムはオーストラリア・ニュージーランド遠征を2勝1分けとし、チェルシーの新監督シャビ・アロンソは初めての敗戦を喫した[1][3]。各国メディアは試合のポイントを異なる角度から伝えており、両クラブのプレシーズン戦略はアジア市場を視野に入れる日本企業にとっても注目すべき内容となっている。
何が起きたか
試合は80,363人の観客を集めた[3][4]。トッテナムは前半19分、ニューカッスルから移籍金1億ポンドで加入したサンドロ・トナーリが放ったシュートが相手選手に当たってゴールとなり、新天地での初得点を挙げた[2][3][4]。しかし、その2分後にチェルシーが同点に追いつく。ロメオ・ラビアの持ち上がりからエステバンがヘディングシュートを決めてスコアは1-1となった[1][2]。同点のまま迎えた後半、トッテナムはハーフタイムに投入したケビン・ダンソが開始3分後にジョアン・ペドロを倒して一発退場となり、数的不利に追い込まれる[1][2][3][4]。チェルシーは数的優位を背景に攻勢を強め、GKアントニン・キンスキーの好守に遭いながらもエステバンのシュートがクロスバーを叩く場面を作った[2]。しかし追加点を奪えず、迎えた後半アディショナルタイム、トッテナムのジェイミー・ドンリーのシュートがポストに当たって跳ね返ったところにリシャルリソンが詰め、これが決勝点となった[2]。トッテナムはそのまま2-1で逃げ切り、チェルシーの攻撃をわずか4本の枠内シュートに抑えた[2]。
背景と文脈
両クラブは昨シーズンのプレミアリーグで低迷した。チェルシーは10位、トッテナムに至っては17位でかろうじて残留を決めたばかりである[3][4]。このため今夏は積極的に移籍市場へ動いた。チェルシーはアストン・ビラからモーガン・ロジャースを獲得して目玉補強としたほか、アタランタからマルコ・パレストラを加えた[3][4]。対するトッテナムもトナーリ獲得にクラブ記録の資金を投じ、ウェストハムからマテウス・フェルナンデス、さらにアンディ・ロバートソンを新戦力として迎えている[2][3][4]。監督も両チームで刷新された。チェルシーはシャビ・アロンソ、トッテナムはロベルト・デ・ゼルビが新たに指揮を執る[1][2][3][4]。ただし、チェルシーはロジャースをはじめ新加入選手の多くがまだチームに合流しておらず、トッテナムもフェルナンデスがふくらはぎの張り、ジェームズ・マディソンが軽度の故障で欠場するなど、陣容は未完成のままの対戦だった[4]。この一戦は「シドニー・スーパーカップ」と銘打たれたプレシーズンツアーの一環で、両クラブはアジア太平洋地域でのプレゼンス強化を図っている。チェルシーは次戦、8月5日に香港でユベントスとの対戦を予定している[1][3]。
各国はどう報じたか
英国メディア(NA)は、トッテナムが10人の劣勢をはね返した闘志と粘り強い守備を高く評価し、数的優位を生かして試合を支配しながら4本の枠内シュートにとどまったチェルシーの決定力不足を厳しく批判した[2]。トッテナムがプレシーズン無敗を維持した点も、好意的に強調されている[2]。インドネシアメディア(ID)は、チェルシーが数的優位を生かしきれなかったことを「痛恨の代償」と表現し、相手の一瞬の隙を突いたリシャルリソンの決勝ゴールが試合を決めたと伝えた[1]。試合展開そのものにフォーカスし、淡々と結果を示すスタイルだった[1]。ナイジェリアメディア(NG)は、試合経過とともに両クラブの補強状況に紙幅を割いた[3][4]。チェルシーが未合流のロジャースらを抱え、トッテナムも故障者を出しながら新加入選手の初出場や初ゴールがあったことなど、プレシーズンのチーム構築の進み具合を中心に客観的なトーンで報じている[3][4]。ノルウェーメディア(NO)については、現時点で具体的な論調を確認できる情報は得られていない。
日本にとっての含意
プレミアリーグのプレシーズンツアーがオーストラリア・ニュージーランド、そしてアジアで実施されている事実は、日本のスポーツビジネス関係者にとって示唆に富む。チェルシーは次戦、8月5日に香港でユベントスと対戦する予定であり、将来的な日本開催の可能性や、放映権・スポンサーシップ契約を巡る動きに影響を与えうる[1][3]。トナーリの移籍金1億ポンドに象徴されるように、プレミアリーグの資金力とこれによる選手流動性の高まりは、欧州サッカーの経済構造そのものを変化させており、日本のメディア企業やマーケティング戦略にも波及する。また、シャビ・アロンソという国際的に注目を集める新監督の采配や、低迷からの再建途上にある二つのビッグクラブの動向は、日本サッカーの指導者育成や戦術トレンドに関する議論にも素材を提供する。プレシーズンにおける新戦力の融合過程やチームマネジメントの手法は、日本国内のプロクラブ経営の参照点となってもおかしくない。
今後の注目点
第一に、8月5日に香港で行われるチェルシー対ユベントス戦の内容だ。シャビ・アロンソ監督が初勝利を挙げられるか、またモーガン・ロジャースをはじめとする主力級の新加入選手がいつチームに合流し、戦術に組み込まれるかが焦点となる[1][3][4]。トッテナムはオーストラリア・ニュージーランド遠征を2勝1分けで終えたが、ふくらはぎを痛めているマテウス・フェルナンデスやジェームズ・マディソンの状態が開幕に間に合うかどうかが負傷者情報として伝えられている[4]。さらに、移籍市場が閉まるまでに両クラブが追加の補強に動く可能性も残る。トナーリという高額補強が機能し始めたトッテナムと、新戦力の合流が遅れているチェルシーという対照的なスタートは、23-24シーズンのリーグ全体の勢力図を占う上で無視できない材料である。プレミアリーグ開幕まで数週間、この2チームの準備状況がそのままリーグの見どころの一つとなりそうだ。